RHOMBOID MUSCLES & SCAPULAR MOVEMENT

「肩甲骨の内側がこる」「背骨と肩甲骨の間が重い」「菱形筋をストレッチすれば肩こりは改善する?」と気になっていませんか?

菱形筋は、背骨と肩甲骨の内側をつなぐ背中の筋肉です。

肩甲骨を内側へ引く動きなどに関わるため、デスクワークや筋力トレーニングの記事でもよく登場します。

ただし、肩甲骨の内側がこる・痛む=菱形筋が硬い、と一つの筋肉だけで原因を決めることはできません。

首・肩・胸椎・僧帽筋・肩甲挙筋など周囲の組織や、長時間同じ姿勢でいること、身体活動量なども関係する場合があります。

この記事では、菱形筋の場所と役割、ストレッチ・筋トレ、デスクワーク中の対策、医療機関へ相談した方がよい症状まで整理します。

この記事の執筆・監修
執筆:パーソナルジムBREEZE 高槻店
トレーニング・身体ケア監修:BREEZE高槻店 専門監修チーム
FIRST ANSWER

菱形筋とは?|肩甲骨の内側にある筋肉

菱形筋は、大菱形筋と小菱形筋からなる肩甲骨周辺の筋肉です。

背骨から肩甲骨の内側縁へ付着し、肩甲骨を内側へ引く動きや下方回旋などに関わります。

菱形筋は僧帽筋の深い位置にあり、背中から直接見える筋肉ではありません。

大きく、

  • 大菱形筋
  • 小菱形筋

に分かれます。

どちらも肩甲骨と脊柱をつなぎ、肩甲骨の位置や動きを支える筋肉です。

ただし肩甲骨は菱形筋だけで動いているわけではありません。

僧帽筋・前鋸筋・肩甲挙筋・小胸筋など、複数の筋肉が協調することで腕や肩の動きが作られます。

肩甲骨そのものの役割・6方向の動きはこちらの記事で詳しく解説しています。

FUNCTION

菱形筋の主な働きは?

肩甲骨を内側へ引く

菱形筋の代表的な作用は、肩甲骨を背骨側へ近づける動きです。

ローイングなどで腕を後ろへ引くときには、肩関節の動きとともに肩甲骨も動きます。

肩甲骨の下方回旋に関わる

菱形筋は、肩甲骨の下方回旋にも関わります。

一方、腕を頭上へ上げる場面では前鋸筋や僧帽筋などによる上方回旋も重要です。

そのため「姿勢を良くするために常に肩甲骨を寄せておく」という使い方はおすすめしません。

肩甲骨を胸郭上で安定させる

肩甲骨は肋骨の上を動く骨です。

菱形筋を含む複数の筋肉が協調して働くことで、腕を動かす際の肩甲骨の位置や動きを支えます。

PAIN & STIFFNESS

肩甲骨の内側がこるのは菱形筋が原因?

菱形筋がある場所と「肩甲骨の内側がつらい」と感じる場所が重なることはあります。

ただし、症状の場所だけから、

「これは菱形筋のコリです」

と断定することはできません。

肩甲骨周辺の不快感には、

  • 僧帽筋
  • 肩甲挙筋
  • 菱形筋
  • 頸部
  • 胸椎周辺
  • 長時間のデスクワーク
  • 運動・トレーニングによる疲労

などさまざまな要素が関係する可能性があります。

「押して痛い場所=その筋肉が原因」とも限りません。
痛みは周囲から関連して感じることもあり、神経など筋肉以外の組織が関係するケースもあります。
DESK WORK

デスクワークで肩甲骨の内側が重くなるのはなぜ?

パソコン・スマートフォン作業では、腕を身体の前へ置く時間が長くなります。

このとき肩甲骨周辺の筋肉も一定の姿勢を保つために活動します。

問題は「猫背になった瞬間」より、同じ姿勢・同じ作業を長時間続けることです。

例えば、

  • 数時間ほとんど席を立たない
  • マウスが身体から遠い
  • 腕を支えず作業する
  • 画面を見るため前のめりになる
  • 肩をすくめたまま入力する

などが重なると、首・肩・肩甲骨周辺に疲労感を感じやすくなります。

「菱形筋が伸ばされて固まった」とだけ考えない。

作業姿勢・休憩・身体活動・首や肩の動きまでまとめて確認しましょう。

POSTURE

猫背だと菱形筋が伸びて硬くなる?

背中を丸めた姿勢では、肩甲骨は外側へ移動しやすくなり、菱形筋は長くなった位置になります。

しかし、

「伸ばされた筋肉は硬くなるから、猫背の人は全員菱形筋が悪い」

とまでは言えません。

姿勢と痛みの関係は単純ではなく、人によって楽な姿勢も異なります。

また、肩甲骨を強く寄せ続ければ良い姿勢になるわけでもありません。

実践では、

  • 同じ姿勢を長時間続けない
  • 肩・肩甲骨をいろいろな方向へ動かす
  • 胸・背中・肩周辺をバランスよく鍛える

ことを優先します。

SLEEPING POSITION

横向き寝で菱形筋が硬くなる?

横向き寝は一般的な睡眠姿勢の一つで、横向きで寝ること自体が菱形筋のコリの原因になるとは言えません。

ただし、

  • 枕の高さが合わない
  • 特定の姿勢で痛みが強くなる
  • 肩そのものに痛みがある

場合には睡眠姿勢を調整すると楽になることがあります。

「右向き・左向きだから悪い」ではなく、痛みなく眠れる姿勢を優先しましょう。

STRETCH

菱形筋ストレッチ|肩甲骨を軽く外へ広げる

肩甲骨の内側に張りを感じる場合、肩甲骨を外側へ動かすストレッチで楽に感じる方もいます。

STEP 01

両手を前で組む

椅子へ座ったままでも、立った状態でも構いません。

STEP 02

手を前へ伸ばす

肩甲骨の間を少し広げるイメージで、両腕をゆっくり前へ伸ばします。

STEP 03

背中を軽く丸める

腰から大きく曲げるのではなく、上背部を軽く丸めます。

STEP 04

痛くない範囲で保持する

呼吸を止めず、肩甲骨の内側が軽く伸びる程度で10〜30秒ほど保ちます。

STEP 05

ゆっくり戻す

勢いをつけず、首や肩に痛みが出ない範囲で行います。

強く伸ばすほど効果が高いわけではありません。
痛み・しびれ・電気が走るような感覚が出る場合は中止してください。
自分では肩甲骨まわりをうまく伸ばせない方へ
肩甲骨の内側だけを強く伸ばすのではなく、
胸・背中・肩・首まわりの柔軟性や身体の動かしやすさも確認する方法があります。
BREEZE高槻店では、トレーニングへの入会なしで
パーソナルストレッチのみのご利用も可能です。
SHOULD YOU STRETCH?

「菱形筋がこるなら伸ばせばいい」とも限らない

肩甲骨内側に張りを感じると、とにかくその部分を伸ばしたくなる方もいます。

しかし、デスクワークなどで長時間肩甲骨が外側へ開いた姿勢を取っている方では、さらに強く引き伸ばす方法が必ずしも心地よいとは限りません。

そのような場合はストレッチだけでなく、

  • 立ち上がる
  • 肩を回す
  • 胸を開く
  • 腕を上げる
  • ローイングなどで肩甲骨を動かす

など、異なる方向へ身体を動かしてみる方法があります。

「硬い筋肉は必ず伸ばす」ではなく、動いた後に楽になるかを確認しましょう。

STRENGTH TRAINING

菱形筋を鍛えるならローイング系が使いやすい

菱形筋だけを完全に分離して鍛えることは難しく、通常は僧帽筋や広背筋、肩後面など複数の筋肉と一緒に働きます。

肩甲骨を内側へ引く動作を含む種目としては、

  • シーテッドロー
  • チューブローイング
  • ダンベルロー
  • ケーブルロー

などがあります。

「菱形筋にだけ効かせる」ことより、肩や首に無理なく背中の引く動作を行えることを優先しましょう。

BAND ROW

自宅でできるチューブローイング

STEP 01

チューブを安全な位置へ固定する

外れないことを確認し、胸の高さ前後にセットします。

STEP 02

腕を前へ伸ばして構える

肩をすくめず、身体を安定させます。

STEP 03

肘を後ろへ引く

肘を身体の後方へ動かしながら、肩甲骨も自然に内側へ動かします。

STEP 04

無理に肩甲骨を挟み込まない

胸を反りすぎたり、首へ力を入れたりせず、自分が制御できる範囲で引きます。

STEP 05

ゆっくり戻す

チューブの力に引っ張られず、肩甲骨が外側へ戻る動きもコントロールします。

DON’T PINCH ALL DAY

姿勢改善のために肩甲骨をずっと寄せておく必要はない

「猫背だから肩甲骨を寄せて胸を張る」と意識し続けている方もいます。

しかし肩甲骨には、

  • 内転
  • 外転
  • 挙上
  • 下制
  • 上方回旋
  • 下方回旋

などさまざまな動きがあります。

肩甲骨を内側へ固定し続けることが理想的な姿勢ではありません。

特に腕を前へ伸ばしたり頭上へ上げたりするときは、肩甲骨が外側へ動くことも正常です。

「良い肩甲骨=常に寄っている」ではありません。
必要な方向へスムーズに動けることを目指しましょう。
EXERCISE EVIDENCE

肩甲骨周辺を鍛えると首・肩のコリは改善する?

慢性的な首痛があるオフィスワーカーに対する運動は研究されています。

2024年のシステマティックレビュー・メタ解析では、首・肩・肩甲骨周囲を含む筋力トレーニングによって、痛みと機能障害が軽減する結果が示されました。

ただし、含まれた8件のRCTはいずれもバイアスリスクが高く、エビデンスの確実性は低いと評価されています。

つまり、

「菱形筋を鍛えれば肩こりが治る」とまでは言えません。

一方で、痛みのない範囲で身体活動・筋力トレーニングを行うことは、慢性的な首肩症状への選択肢の一つになります。

WORK BREAKS

デスクワーク中も、姿勢を変えて身体を動かす

1日に数分菱形筋をストレッチしても、その後8時間ほとんど動かなければ、また肩甲骨周辺に疲労感を感じることがあります。

仕事中は、

01 / STAND

定期的に立ち上がる

短時間でも姿勢を変えます。

02 / WALK

少し歩く

飲み物を取りに行く、トイレへ行くなど、自然に動く機会を作ります。

03 / SHOULDERS

肩・肩甲骨を動かす

肩回しや腕を上げる動きなど、一方向だけではなくいろいろな動きを使います。

04 / WORKSTATION

作業環境を確認する

マウス・モニター・椅子が極端に身体から離れていないか確認します。

「30分に1回必ず」「1時間に1回なら絶対」と時間を厳密にする必要はありません。

今より同じ姿勢が続く時間を短くするところから始めましょう。

MASSAGE

菱形筋をマッサージすればいい?

肩甲骨の内側を軽くほぐして気持ちよく感じる方はいます。

マッサージ・フォームローラー・ボールなどをセルフケアとして利用することはできます。

ただし、

  • 痛いほど強く押す
  • 骨の縁を強く刺激する
  • しびれが出ても続ける
  • 毎日あざができるほど行う

必要はありません。

またマッサージで一時的に楽になっても、長時間同じ姿勢・運動不足などが続けば症状が戻ることがあります。

セルフケアは「治療」ではなく、身体を動かすきっかけの一つとして考えましょう。

OTHER CAUSES

肩甲骨の内側の痛みは菱形筋以外のこともある

肩甲骨周辺の痛みには、筋肉以外の要因が関係することもあります。

例えば、肩甲骨内側へ向かう背側肩甲神経に関係する症状も医学文献で報告されています。

そのほか、頸椎など別の場所から症状を感じる場合もあります。

そのため、

  • 長期間続く
  • どんどん強くなる
  • 筋力低下を伴う
  • 肩甲骨が明らかに浮き出てきた
  • しびれを伴う

場合は、「菱形筋が凝っている」と自己判断し続けず医療機関へ相談しましょう。

WHEN TO SEEK CARE

肩甲骨周辺の痛みで病院へ相談した方がいい症状

次のような症状がある場合はセルフストレッチだけで対応しないでください。

  • 転倒・事故・強い衝撃の後から痛む
  • 腕や手のしびれ・筋力低下がある
  • 肩甲骨が大きく浮いて見えるようになった
  • 発熱など全身症状がある
  • 胸痛・息苦しさなどを伴う
  • 夜間も強く痛み続ける
  • 症状が数週間続き改善しない
  • 急激に悪化している

肩甲骨周辺だからといって、すべて筋肉痛や「コリ」ではありません。

気になる症状がある場合は医療機関で確認してください。

突然の激しい胸・背中の痛みや、急な息切れ・呼吸困難がある場合は、ためらわず119番へ連絡してください。

PRACTICAL ROUTINE

痛みが強くない方向け|肩甲骨周辺を動かす簡単な流れ

01 / MOVE

肩をゆっくり回す

前後へ数回ずつゆっくり動かし、現在の動きや違和感を確認します。

02 / REACH

腕を前へ伸ばす

肩甲骨を軽く外側へ広げ、菱形筋周辺を動かします。

03 / OPEN

胸を軽く開く

肩甲骨を無理に強く寄せず、肩の前側も動かします。

04 / ROW

軽いローイング

チューブなどを使い、肩甲骨周辺・背中の筋肉を無理なく使います。

05 / WALK

身体全体を動かす

肩甲骨だけに集中せず、歩行などの日常的な身体活動も取り入れます。

行った後に痛みが明らかに強くなる場合は中止し、状態を確認しましょう。

BREEZE TAKATSUKI

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BREEZEは医療機関ではありません。
肩・首・神経等の疾患を診断・治療するものではありません。強い痛み、しびれ、筋力低下などがある場合は医療機関での確認を優先してください。

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FAQ

菱形筋についてよくある質問

菱形筋はどこにありますか?
背骨と肩甲骨の内側縁をつなぐ位置にある筋肉で、大菱形筋と小菱形筋があります。僧帽筋の深い場所に位置します。
菱形筋はどんな動きをしますか?
主に肩甲骨を背骨側へ近づける内転や、肩甲骨の下方回旋などに関わります。ただし肩甲骨は前鋸筋・僧帽筋・肩甲挙筋など複数の筋肉が協調して動かします。
肩甲骨の内側が痛いのは菱形筋が硬いからですか?
場所だけでは判断できません。菱形筋を含む筋肉の疲労が関係することはありますが、頸部・胸椎・他の肩甲骨周囲筋・神経などが関係する場合もあります。
菱形筋をストレッチすれば肩こりは治りますか?
ストレッチで一時的に楽になる方はいますが、菱形筋ストレッチだけですべての肩こりが改善するとは言えません。長時間同じ姿勢、身体活動、首・肩周辺の筋力なども確認しましょう。
肩甲骨・背中まわりのストレッチだけ受けられますか?
はい。BREEZE高槻店ではトレーニングへの入会なしで、パーソナルストレッチのみのご利用が可能です。
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強い痛み・しびれ・筋力低下などがある場合は、ストレッチより先に医療機関へご相談ください。
菱形筋は筋トレした方がいいですか?
肩甲骨周辺の筋力を高める目的でローイング系トレーニングを利用できます。ただし「菱形筋が弱いから肩こり」と決めつけず、背中・肩・首などを含めてバランスよく運動しましょう。
菱形筋を鍛えるおすすめ種目は?
シーテッドロー、チューブロー、ダンベルローなど、肩甲骨を内側へ動かすローイング系種目が候補です。菱形筋だけではなく僧帽筋など複数の筋肉も働きます。
横向きで寝ると菱形筋が硬くなりますか?
横向き寝そのものが菱形筋のコリを起こすとは言えません。特定の姿勢で症状が強くなる場合は、枕や寝姿勢を調整して楽な状態を探しましょう。
肩甲骨をずっと寄せておけば姿勢は良くなりますか?
おすすめしません。肩甲骨は内側・外側・上下・回旋方向へ動く必要があります。常に寄せて固定するより、必要な方向へスムーズに動けることを目指しましょう。
肩甲骨内側の痛みで病院に行く目安は?
突然の激しい胸・背中の痛みや、急な息切れ・呼吸困難がある場合は119番へ連絡してください。腕や手のしびれ・筋力低下、外傷後の強い痛み、肩甲骨が大きく浮く、発熱、急激な悪化、数週間改善しない症状などは医療機関へ相談してください。

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