ICE SKATING & PHYSICAL ACTIVITY
「アイススケートって運動になる?」「どのくらいカロリーを消費する?」「脚や体幹も鍛えられる?」と気になっていませんか?
アイススケートは、氷の上でバランスを保ちながら脚で身体を押し出して進む運動です。
ゆっくりレジャーとして滑る場合から、速いスピードスケートやフィギュアスケートまで、滑り方によって運動強度は大きく変わります。
そのため、「スケートは1時間で必ず○kcal」「ランニングより消費が大きい」「内ももが痩せる」と一律には言えません。
一方、全身を移動させながら下半身を繰り返し使うため、楽しく身体活動量を増やす方法の一つとして利用できます。
この記事では、アイススケートの運動強度・消費カロリー、使う筋肉、ダイエットとの関係、バランス・体幹、初心者の始め方と安全上の注意点まで解説します。
アイススケートは運動になる?
ただしリンクで休憩している時間も含めた「滞在時間」と、実際に滑っている運動時間は分けて考えましょう。
2024年版の身体活動METs表では、アイススケートは、
- 14.6km/h以下のスケート:5.5 METs
- アイススケート全般:7.0 METs
- 14.6km/hを超える速いスケート:9.0 METs
- アイスダンス:14.0 METs
- 競技スピードスケート:13.8 METs
と分類されています。
つまり、ゆっくり滑るレジャースケートと競技スケートを、同じ運動強度として扱うことはできません。
METsとは?|消費カロリーを考える時の指標
METs(メッツ)は、安静時と比べて身体活動がどのくらいのエネルギーを必要とするかを表す指標です。
例えば7 METsなら、安静時のおよそ7倍のエネルギーを必要とする強度として分類されています。
ただし、METsから計算した消費エネルギーも推定値です。
実際の消費量には、
- 体重
- 速度
- 滑走技術
- 休憩時間
- リンクの混雑
- 実際に滑った時間
などが関係します。
1時間リンクにいても、休憩・靴の調整・混雑などで実際に滑る時間は人によって大きく違います。
アイススケートはランニングよりカロリー消費が大きい?
一律には言えません。
スケートもランニングも速度・時間によって運動強度が変わるからです。
ゆっくりしたスケートと速いランニングを比べればランニング側の運動強度が高くなることがありますし、速いスケートとゆっくりしたジョギングでは逆になる場合もあります。
そのため、
「スケートはランニングより効率よく痩せる」
とは考えません。
アイススケートではどこの筋肉を使う?
スケーティングでは、氷を後方・側方へ押して身体を前へ進めます。
そのため、主に、
- 大臀筋などのお尻
- 大腿四頭筋
- ハムストリングス
- 股関節内転筋群
- 股関節外転筋群
- ふくらはぎ・足首周辺
などの下肢筋群が関わります。
競技スケートの筋電図研究でも、臀筋、大腿部、内転筋、前脛骨筋、ヒラメ筋など複数の下肢筋群がスケーティング動作に関与することが確認されています。
ただし、競技選手の全力滑走データを、そのまま初心者のレジャースケートへ当てはめるものではありません。
アイススケートで「内もも痩せ」できる?
内ももの筋肉を使うことと、内ももの脂肪だけが落ちることは別です。
スケーティングでは股関節の外転・内転動作があり、内転筋群も活動します。
速度が高くなるほど内転筋の活動が増えた研究もあります。
しかし、
「内転筋を使う」
=
「内ももの脂肪だけ燃える」
ではありません。
体脂肪を減らしたい場合は、食事・身体活動・筋力トレーニングを含めた全身の体脂肪管理で考えます。
お尻・脚の筋トレ代わりになる?
スケートは下半身の筋肉を繰り返し使う運動です。
そのため、普段ほとんど運動していない方なら翌日に脚・お尻へ筋肉痛を感じることもあります。
ただし、
「筋肉を使う運動」と「筋肥大を目的としたレジスタンストレーニング」は同じではありません。
お尻・脚の筋力や筋肉量を計画的に高めたい場合は、
- スクワット
- レッグプレス
- ヒップスラスト
- ランジ
- カーフレイズ
など、重量・回数・セット数を管理できる筋力トレーニングも利用できます。
目的に合わせて両方を組み合わせられます。
アイススケートはバランス能力を使う運動
スケート靴の細いブレードで氷上を滑るため、普段の歩行とは違う条件で身体をコントロールする必要があります。
特に、
- 片脚で滑る
- 体重を左右へ移動する
- 方向を変える
- 減速・停止する
際にはバランスと神経筋コントロールが必要です。
競技フィギュアスケートでも、バランス・神経筋機能は重要な身体能力として研究されています。
競技者のバランス研究と、一般成人の転倒予防は別のテーマです。
アイススケートで体幹は鍛えられる?
氷上で姿勢を保ち、脚で押し出す時には体幹も身体を安定させるために働きます。
ただし、
「体幹を使う」
=
「腹筋が大きく発達する」
ではありません。
また、体幹を鍛えれば自動的に姿勢が良く見えるとも限りません。
体幹の筋力を高めることが目的なら、スケートだけではなく、目的に合わせて筋力トレーニングを組み合わせることもできます。
アイススケートで身体が柔らかくなる?
現在の記事では「滑る動きによって全身の柔軟性が向上する」としていました。
この表現も変更します。
フィギュアスケートなどでは大きな関節可動域を必要とする動作がありますが、一般的なレジャースケートをするだけで全身の柔軟性が大きく改善するとは断定できません。
柔軟性そのものを高めたい場合は、必要な関節・筋群へ適切なストレッチや可動域トレーニングを行う方が目的を明確にできます。
心肺機能を高める運動になる?
一定時間継続して滑れば、心拍数・呼吸数が上がります。
身体活動METs表でも一般的なアイススケートは7.0 METsとされており、速度によっては高い運動強度になります。
そのため、継続的に行えば身体活動・心肺フィットネス向上を目的とした運動の一つとして利用できます。
ただし、リンクが混雑していてほとんど滑れない、数分滑って長く休むなどの場合には、運動量も変わります。
「スケートリンクへ1時間行った=1時間有酸素運動した」ではありません。
アイススケートでダイエットできる?
身体活動量を増やす手段として使えます。
一方、体脂肪を減らすにはスケートだけではなく、長期的なエネルギーバランスが関係します。
例えば、
- 週末にスケートを楽しむ
- 普段は歩く量を確保する
- 筋力トレーニングを行う
- 食事量を目的に合わせる
などを組み合わせる方法があります。
ダイエットのために嫌いな運動だけを続ける必要はありません。
初心者は何分から始める?|30分という固定ルールはない
現在の記事では「初心者は30分程度から」としています。
30分程度で楽しめる人もいますが、全員共通の開始時間ではありません。
初めての場合は、
- まず数分滑ってみる
- 疲れたら休憩する
- 停止・方向転換を練習する
- 脚・足首の疲労を確認する
程度からで構いません。
慣れないスケート靴を履くだけでも足部が疲れることがあります。
転倒しそうなほど疲れてきたら、時間を達成するために無理に続けないようにしましょう。
初心者は「速く滑る」より止まる・曲がるを先に
初心者の場合、スピードを上げることより、
STEP 01
氷の上で立つ
膝を軽く曲げ、まず静止した状態で身体を安定させます。
STEP 02
小さく前へ進む
いきなり強く蹴らず、小さな動きから氷上の感覚に慣れます。
STEP 03
減速・停止方法を覚える
人や壁へぶつかって止まるのではなく、リンクで案内される基本的な止まり方を練習します。
STEP 04
方向を変える
周囲を確認しながら、自分で進行方向を変えられるようにします。
STEP 05
余裕が出てから速度を上げる
止まる・曲がることができない状態でスピードだけを上げないようにします。
スケート靴のサイズ・フィット感は大切
スケート靴は普段のスニーカーとは構造が違います。
大きすぎる・小さすぎる靴では、足が安定しにくかったり、痛みが出たりする場合があります。
競技フィギュアスケートの医学レビューでも、適切なブーツフィットは重要な要素として扱われています。
レンタルする場合も、
- かかとが大きく浮かないか
- 強い圧迫・痛みがないか
- 足首周辺を安定させられるか
を確認し、分からなければリンクスタッフへ相談しましょう。
初心者がアイススケートで気をつけたいこと
- 利用するリンクのルールを確認する
- 進行方向・混雑状況を守る
- 急に横切る・逆走しない
- 手袋などリンクが指定する装備を確認する
- 子ども・初心者の防具は施設の案内に従う
- スケート靴のフィット感を確認する
- 疲れてコントロールできなくなる前に休む
- ジャンプ・スピンなど難しい技を自己流で試さない
初めての場合は、基本的な滑り方・止まり方を教えてもらえる初心者レッスンを利用するのも一つの方法です。
転びそうになった時に無理に踏ん張り続けない
氷上でバランスを崩した時に、急に大きく手足を振ったり、周囲の人へつかまったりすると別の転倒につながることがあります。
転倒方法についてはリンク・インストラクターの指導を受けるのが安全です。
転倒後に、
- 頭を強く打った
- 意識を失った・ぼんやりする
- 強い頭痛・吐き気がある
- 手首・肩・膝などに強い痛みがある
- 立てない・体重をかけられない
などがあれば、無理に滑り続けないでください。
フィギュアスケート・スピードスケートとは負荷が違う
冬季五輪で見る競技と、一般のリンクで楽しむレジャースケートは同じではありません。
比較的ゆっくり滑り、休憩を取りながら楽しむ。運動強度は速度・技術によって変わる。
ジャンプ・スピン・ステップなど技術的要求が高い。筋力・パワー・バランス・可動域などが重要になる。
低い姿勢を保ちながら高速度で滑走し、大きな下肢パワー・心肺能力が要求される競技。
2026年の五輪氷上競技レビューでも、競技によって求められる身体能力は大きく異なることが整理されています。
五輪選手が行うトレーニングや消費エネルギーを、初心者のスケートへそのまま当てはめないようにしましょう。
スケートを楽しみたい人にも筋トレは役立つ?
アイススケートでは下半身・体幹を使うため、オフアイスで筋力トレーニングを行う方法もあります。
競技スケートでは、
- 下半身の筋力
- 片脚での安定性
- 体幹
- バランス
- パワー
などを高めるオフアイストレーニングが行われます。
一般の方なら競技選手と同じメニューは必要ありませんが、
- スクワット
- ランジ
- ヒップヒンジ系
- 片脚種目
- ふくらはぎの筋トレ
などを自分のレベルに合わせて行うことは、下半身の身体づくりに利用できます。
アイススケートについてよくある9つの勘違い
- アイススケートは必ずランニングよりカロリーを消費する
- 1時間滑れば全員300〜600kcal消費する
- 内転筋を使うので内ももだけ痩せる
- 体幹を使うので腹筋が大きく発達する
- スケートをすれば姿勢が良くなる
- スケートをすれば日常でも転倒しなくなる
- 全身の柔軟性が自然に高くなる
- 初心者は30分滑り続けるべき
- 五輪競技の運動効果をレジャースケートにもそのまま当てはめられる
アイススケートは十分な運動になり得ますが、効果は滑り方・強度・継続期間によって変わります。
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「バランスが苦手」
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という方も、競技選手のメニューをそのまま行うのではなく、現在の筋力・運動経験・目的に合わせてトレーニング内容を調整します。
アイススケートの運動効果についてよくある質問
アイススケートは運動になりますか?
アイススケートは1時間で何kcal消費しますか?
アイススケートはランニングより痩せますか?
アイススケートではどこの筋肉を使いますか?
アイススケートで内ももは痩せますか?
アイススケートは体幹トレーニングになりますか?
アイススケートでバランス感覚は良くなりますか?
アイススケートで身体は柔らかくなりますか?
初心者は何分滑ればいいですか?
初心者は何から練習すればいいですか?
アイススケートだけで筋トレは十分ですか?
2024 Adult Compendium of Physical Activities/改訂第2版 身体活動のメッツ(METs)表「冬季活動」。
Kaartinen S, et al. Lower limb muscle activation patterns in ice-hockey skating and associations with skating speed. Sports Biomechanics.
Chang R, et al. Hip adductor muscle function in forward skating. Sports Biomechanics.
Kovacs EJ, et al. Effect of training on postural control in figure skaters: a randomized controlled trial. Clinical Journal of Sport Medicine.
Madsen A, et al. Figure Skating Musculoskeletal Injury: Evidence across Disciplines, Mechanisms, and Future Directions. Current Sports Medicine Reports. 2024.
Olympic Ice Sports: A Narrative Review and Perspectives Toward Milano-Cortina 2026. Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports. 2026.
※競技フィギュア・スピードスケートの研究結果は、一般のレジャースケートへそのまま当てはまるとは限りません。本記事では運動の仕組みを説明する参考として使用しています。
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